
漢字はその名の通り、中国の漢の時代(紀元前2世紀~紀元2世紀ごろ)に体系化された表意文字です。その歴史は古代黄河文明まで遡ります。今から約3300年前(紀元前1000年頃)、中国には殷という王朝がありました。その遺跡である「殷墟」から発掘された亀甲獣骨には漢字の祖先である古代文字が刻まれていました。まだ人と宇宙(神)が王を通じて結ばれていた時代。文字は紛れもなく聖なるものでした。
現代の漢字の多くは簡略化され、本来の形や意味を失っています。しかし古代の漢字は、数千年前の人々の精神や生活を豊かに再現する、まさに象形文字なのです。
象形文字である中国の古代文字にインスピレーションを受けて、文字の形を残しつつ、古代人の精神性を自由に表現したのがKANJIGRAPHです。KANJIGRAPHは、いわゆる一般的な「書道」とは違います。しかし、墨を使った完全に自由なお絵描きでもありません。

古代人が文字に込めた祈りを、筆と髪、墨線によって現代に蘇らせ、その精神に触れることで現代人の生活に刺激と潤いをもたらす。KANJIGRAPHは新たなアートジャンルです。
漢字のこと
漢字は表意文字であるため、その文字の数は10万字以上に上ります。また世界の四大文明のうち、漢字という形で現存する古代文字を持つ文明は黄河文明だけです。
現代中国は漢字の母国ですが、簡体字(簡略化された漢字)を常用しているため、本来の漢字をそのまま保存しているのは不思議なことに日本(と台湾)だけです。